 |
「現代の日本人は神に対する信仰心が薄い」と思っている人が多いようです。確かに、特定の宗教を熱心に信じる人の割合は少ないでしょう。初詣でや困ったときだけ神頼みで、冠婚葬祭は神道や仏教を使い分け、クリスマスなどではキリスト教のいいとこだけ借用する国民性でございます。 |
 |
現在でも終わることのない紛争が世界各地で起こっています。その多くに宗教問題があることは否定できません。そこまで自分達が信じる宗教に凝り固まって他を排除しようとするのを、われわれ日本人は不思議な眼で見てしまいます。日本も、かつて天皇を奉り破滅に突き進んだ国民ですから、人のことは言えません。でも、日本に絶対的な神が存在しないことは、とりあえず良いことと思うのでございます。 |
 |
しかし、日本人の信仰心は薄いという考えを否定したいのでございます。人は何かを信じずにいられない生き物です。八百万の神から、釈尊、そして天皇を信じなくなった日本人は、戦後お金を信じるようになりました。会社のために働き、経済を支えることが幸せの道と信じたのです。その信仰を捨てざるをえなくなった昨今、人々は有名ブランドやマイブーム、スローライフ……と、ひたすら信じるモノを探しているのです。 |
 |
人は、信じるモノがあるとき、安心し強い存在となります。自分自身が信ずるにたる人になることが望ましいのでしょうが、オウムの麻原みたいなのが出てきても困ります。一人の神でなく、多くの神々(八百万の神)こそが日本人の信仰の原点なので、なんでもカミにしてしまえばいいのでございます。 |
 |