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アフリカでは「コカ・コーラ」を健康になる薬だと思っている人が多いようです。しかし、日本ではまるで「毒」のように言う人がいます。もしもコーラにハッキリした害があるのなら、アメリカは既に滅びていることでしょう。日本の清涼飲料業界はコーラに脅威を感じ、あらゆる手を使って日本への参入を妨げようとしたのでございます。日本人が炭酸水をあまり好まないとう理由もありますが、結果的にはその効果が十分あったと言うべきでしょう。 |
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日本の清涼飲料としてのコーヒーは大正時代の「ミルクコーヒー」が初めです。懐かしいのは冷えた「コーヒー牛乳」の少し苦くあま〜い味です。UCCが「オリジナルコーヒー」缶を発売したのは1969年のこと。UCCは缶コーヒーをほぼ独占していました。そこに参入したのは、1992年サントリーの「BOSS」ブルー缶です。サントリーの戦略は驚くべきものです。糖分をUCCと全く同じにして、名前のイメージと缶をブルーにすることで甘くないことを印象づけたのです。時代は、健康のため糖分を控える意識が広がっていました。同じコーヒーを赤茶色と青いカップに入れ「どちらが甘いか」を問う実験で検証することができるのでございます。 |
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自動販売機のおかげで日本中どこでも温かい(冷たい)コーヒーが気軽に飲めるのはありがたいことです。しかし、本物のコーヒーの味を知ってしまうと、缶コーヒーは確かにもの足りません。以前にも書きましたが、コーヒーの味の半分は「香り」だからです。缶コーヒーからは香りは立ちません。おのずと甘くする以外にないのです。望まれていた無糖のコーヒーがUCCから発売されたのは1994年。もちろん、サントリーに奪われたシェアを取り戻すためです。続いてミルク入りの「ホワイト」が96年に発売されましたが、しばらくして消えました。それまで成功例のなかった香りがなく甘さもないコーヒーの味を創り上げたのは見事なことでございます。 |
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実をいいますと、私がこんなに事情に詳しいのは、UCCブラック無糖の缶を創ったデザイナーと友達なのです。だからという訳でなく、前回も書きましたように、最初に創られたものは確かにデザインも味もシッカリしています。無糖の缶コーヒーはその後も雨後のタケノコのごとく発売されています。その中でUCC缶を並べて見てください。UCCだけは黒ではなく、青みがかった暗いグレーです。そのことも初めから計算されていたのでございます。 |
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