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39 ボサノバの勧め (平成18年8月吉日)
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小野リサの存在を初めて知ったのは、彼女が井上陽水の「いっそセレナーデ」を歌った時です。陽水の「傘がない」は、当時の若い自分には衝撃的でした。特に、東京で大学浪人していた頃、毎夜の帰り道を絶唱しながら歩いたものです。吉田拓郎も好きでしたが、陽水は私にとって特別な人だと思っていました。当然のこと2年程前の「YOSUI TRIBUTE」(様々な歌手が陽水の曲を歌う)を買った時、改めて小野リサの歌声に魅了されたのでございます。

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「ボサノバ」はブラジルに生まれ、40年ほどの歴史がある音楽です。ポピュラー音楽のラテンアメリカにおける近代化の代表例で、アメリカでもそのインパクトは大きかったとか。ジョアンジルベルトとかアントニオカルロスが有名です。私もジャズファンですから、ボサノバやボサノバ風ジャズを時には聴いていました。しかし、ボサノバを特に意識することはありませんでした。ボサノバはスタイリッシュで抑制された歌声が特長の音楽です。ジャズとは違いますが、似ている点もあるようです。ポルトガル語というのも一つの特長と言えるでしょう。歌詞も芸術性が高いと言われますが、理解できないのが残念でございます。

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小野リサは、ボサノバの本場ブラジルのサンパウロに生まれ10歳まで生活します。15歳からギターを弾いて歌い始めた彼女のボサノバは本物です。小野リサのアルバムを買ったのは昨年でしたが、それがキッカケでボサノバのCDを何枚も続けて手にしました。気がつけば、昨年の夏は小野リサを中心にボサノバに浸っていました。どうもこの現象は私だけでなく、レコード店にボサノバのコナーができるほどの、少しはブームがあったようなのです。上質のボサノバの感触はけして飽きがきません。それは丁寧に創り込んだ歌声とギターがなせるワザなのでございましょう。

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音楽もまた時代を映す鏡。ボサノバが新鮮に感じられ気分にフィットするのは、現代社会の実情と無縁ではないからでしょう。意味の分からぬ不快な事件、異常気象による自然災害が多発し、心に病を持つ人が増えています。繊細さの中に確かな音楽性を滲ませ、静に流れるようで、ぜい弱な響きではありません。シンプルさと同時に、様々な音楽からの影響を感じさせるボサノバはけして色あせません。今年の夏もお世話になりそうでございます。

掌中のアート
午後5時55分
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