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47 ススメさせていただきます (平成19年4月吉日)
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西武池袋線で通っていた20年以上も前のことです。電車に飛び乗ると、「ドア 閉めさせていただきます・・・」と聞き慣れないアナウンスが流れました。「これはなに??」内心で私は動揺したのを憶えています。なぜ「ドアが閉まります」ではいけないのでしょうか。5文字も多く使っています。以来、他の路線ではあまり聞いたことはありませんが、今でも変わっていないのでございます。

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その頃からでしょうか、著名人のコメントから度々「させていただきます」を聞くようになりました。まるでマニュアルでもあるかのように(きっとあるのでしょう)、特に若いタレントから少しインギンな表現が聞かれるようになりました。写真週刊誌『フォーカス』が1981年に創刊され、人気タレントなどの言動が社会的に注目されるだけでなく、とんでもないバッシングを受けるようになったのです。「フォーカスしちゃうぞ」は脅し文句として流行りました。『フォーカス』は優れた雑誌と思っていましたら、スキャンダルな面だけが注目されるようになり、2001年に廃刊されました。後追いで内容も悪い『フライデー』の方が残ったのも皮肉な話でございます。
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「2ちゃんねる」のカキコミや「ブログの炎上」などのニュースも良く耳にする時代です。かつて盛んに「情報の時代」と言われたことも、実際にその渦中にくると、なるほどこのようなことなのかと思うのです。誰もが気軽に多くの情報を得るだけでなく、発信することもできる大変な便利さと引替えに、イイ加減な情報の風に吹き飛ばされ、情報の洪水に押し流されるキケンと背中合わせです。「させていただきます」という言葉の響きからは、丁寧でありながら「絶対するぞ」という強引さも僅かに感じます。自分を防御しながら「やりますよ」と意志を表明しているのでございます。
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「ドア閉めさせていただきます」に最初に感じた動揺は、もしかしてこのようなことを少しは予感したせいかもしれません。最近は会議などでも目にあまる(いや耳にタコ)ほど「させていただきます」を繰り返す人がいます。こんな危ない時代なのですから、せめて言葉のヨロイを有効に使いましょう。斯く言う私も、少しインギンな表現を使いコラムを書かせていただいているのでございますから・・・。

掌中のアート
午後5時55分
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