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49アイドルの勧め(平成19年6月吉日)
福助のコラムでござる
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50 小さなプリンスの勧め (平成19年7月吉日)
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「ぼくはジャングルの冒険についていろんなことを考え、色鉛筆で初めての絵を描きあげた。ぼくの作品第1号はこんなふうだった・・・」星の王子様が描いた「ゾウを呑み込んだウワバミ」は大人には帽子に見える・・・。誰もがタイトルくらいは知っている物語。でも、私が思い出せるのはその話だけです。かつて確かに読んだのに、印象だけは強く残りながら、どのような物語なのか全く思い出せないのでございます。

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しかし、なにかずっと引っかかるものがございました。飛行士サンテグジュペリが書いた有名な『星の王子様』は、近年その日本での翻訳権が切れて多くの訳本が出た為に静かなブームです。その中で、紺の布張りに金の押し文字の装丁が美しい池澤夏樹訳の『le Petit Prince』はお勧めです。“le Petit"はフランス語で小さなという意味ですから、直訳すると「小さな王子」になりますが、微妙なニュアンスを込めて『星の王子様』が正しいようです。物語は、王子さまが変な住人のいる様々な星を廻り、7番目に地球に辿り着きます。ヘビやキツネなどに出会った後、飛行機で砂漠に不時着した「ぼく」と出会うのです。
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「ぼくは何もわかっていなかった! 言葉じゃなくて花のふるまいで判断すればよかったのに・・・」「・・・でも、きみがおれを飼いならしたら、おれときみは互いになくてはならない仲になる・・・」「・・・ものは心で見る、肝心なことは目ではみえない」「きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ」……心に余韻を残す言葉が続き、物語は終わります。でも、結局なにが書いてあったのか解らない詩のような小説。サンテグジュペリが、生死を分ける実際の経験や戦争による辛い思い、愛妻のコンスエロとの体験などをもとに書いたお話なのでございます。
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『星の王子様』がとても気になるのは「本当に大切なコト」を教えてくれるように感じるからでございます。「大切なコト」が見えなくなった日本の大人、そして子供たち。豊かな生活を築きながら、けして心は豊かといえない現代。本を読み返すたびに小さな心の傷みが生まれます。いつも心の隙間には入り込んでいる『星の王子様』。物語の終わりはこうです。「大人たちはこれがどんなに大事なことか理解できないだろう!」

掌中のアート
午後5時55分
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