豆わんこ～福助のコラムでござる

「しゃぶしゃぶ」はモンゴルが源流なのをご存じですか?　チンギスハーンが鍋で肉を食べたのが始まりで、モンゴルでは羊のしゃぶしゃぶは定番の料理です。それが中国でも鍋料理として広まり、それを食べた日本人は多いはずです。子供の頃、父が東京で食べて感激したしゃぶしゃぶを家で再現してみましたが、あまり美味しくありませんでした。東京に出てから知ったしゃぶしゃぶも、なにか腑に落ちないものでございました。

ナットクいかないのは、薄切りの肉をお湯に浸けるので旨味がほとんど出てしまうことです。味も栄養もなくなった綿のような肉をタレの味で食べる訳です。肉そのものの味は厚く切ったステーキの方があります。しかし、最後に残ったスープを使ったキシメンは最高です。濃厚なスープに塩コショーだけで味付けしますと、このために肉のダシをとっていたのかと感動します。高級なしゃぶしゃぶでは、はじめからスープの中に肉を入れますからそれなりの味にまとまります。しかし、そんなたいそうなことをしてまで高級な肉を食べる価値があるのでございましょうか?

丹波篠山に「モンゴルの里」があります。主人のスーチンドロンさんは日本の大学に留学した後、モンゴル料理店を営んできました。本物のパオに宿泊しながら本場のしゃぶしゃぶが楽しめます。もちろん新鮮なラムです。馬乳酒を友にパオで食すしゃぶしゃぶは、眼からウロコのお味です。これでナットクしました。来日したスーチンさんは、日本人があまりにモンゴルを知らないことに驚いたそうです。スーチンさんは有名人ですし、日本人の奥さんは子供といっしょにモンゴルの学校に通っているそうです。目標をハッキリ持つスーチンさんとお話しすると日本人に足りないものが見えてくるのでございます。

しゃぶしゃぶのスープには漢方が使われますし、羊肉は身体が暖まります。野菜もふんだんに入るのでバランスのとれた料理です。草山温泉がモンゴルの里前にあります。有馬温泉に近い成分で、こちらも芯から暖まります。スーチンさんは毎年モンゴルツアーを主催していますが、モンゴルまでは行けなくとも、本物のモンゴル文化に触れることは可能です。例の横綱を非難するだけでなく、もっとモンゴルのことを知りたいものでございます。