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趣味はなんですか? と聞かれると困ってしまいます。音楽も好きですし、映画も見ます。自転車にも乗りますし、散歩も旅行もどちらかといえば人並み以上に楽しむ方です。料理にも少しはうるさい男なのです。しかし、趣味はと問われるとこれはというものがありません。そこで、結構まじめに「ショッピング」と趣味の欄に書いたりするのでございます。 |
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確かに骨董を収集するのは趣味ということなのでしょうが、案外モノそれ自体にはあまり執着心はありません。投資のためとか、数を競うとかにも惹かれません。買うこと、飾ること、使うことで得られる充実した時間が好きなのです。買うことが特に好きです。いくら美術館に国宝級の一品があっても買えないものはつまらない。自分の感性を信じて衝動買いをすると、後から大変な後悔をすることも多いし、意外な満足感が訪れることがございます。 |
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福助人形を店頭で見つけて、あまり魅力を感じない福助だけれど値段を聞いてみると驚くほど高いことがあります。その時必ず言われるのは、時代がある、稀少であるということです。この人は知識で商売をしているなと思うのです。見れば他のモノもつまらなく、店主も冴えない人に見えてきます。もちろんその逆もございます。本に載っているモノを探して歩くなどは好きではありません。「書を捨てよ、買い物をしよう」です。 |
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お金が十分にあるから気分良く買えるというのでもありません。お金がないとき、賭けを伴うスリリングな状況のときこそ買ってしまうものです。つまり、どうしようもなく持ち帰りたいと思うモノに出会ってしまうのです。その場合、やはり自分の懐具合を無視しては楽しみどころではなくなります。たとえ五百円でも自分の感性で買うのであれば、返ってくる答えはけして小さいものではございません。 |
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