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75 原爆ドームの薦め (平成21年8月吉日)
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なんども見て知っているつもりなのに現物は見ていない。例えば、富士山も数えきれぬほど見ているけど、本物の富士の裾野に立つか、あるいは登れば、その巨大さにたじろぐ程でございます。もちろん「原爆ドーム」は知っているけど、なんとなく足が向かないという人は多いのではないでしょうか。私が初めて現地を訪れたのは、10年ほど前のこと。自分のイメージと実物の印象はずいぶん違うものでした。

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誤解を恐れずに言えば「美しい」と感じました。何がというと、モニュメントとして存在感があり、彫刻的だと思ったのでございます。人間が造り出す芸術作品より、ずっと意味深く訴えてくるものがあるということです。それは、元々の建築が優れていて、偶然ではなく骨格が残ったことに理由があるのかなと考えました。そして、反対者が多かったのに、記念碑として残そうとした建築家の丹下健三は、そのことだけでも偉大な人だと思うのです。東京都庁の建築よりはずっと評価できるのではないでしょうか。

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しばらくして、ドウス昌代の「イサム・ノグチ」を読む機会があり、伝記の中の数奇な人生や魅力を知りました。そして、彼の広島との不思議な縁。日本人の血を引くノグチは、慰霊碑を丹下に依頼されながら、アメリカ人であることを理由にデザイン案が却下されたのでした。本当に残念なことですが、仕方がありません。もし、ノグチの彫刻があったなら、いや、もし原爆ドームが壊されていたならと考えると、歴史が重くのしかかってまいります。世界に唯一の存在、それに勝るものはございません。

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人類はなぜ大量の破壊兵器を持つのでしょう。未だに、これからも持ちたがる国は絶えません。紛争も戦争も続きます。だからこそ、原爆ドームには大きな役割がございます。最近、あの三宅一生が自分も被爆者であることを初めて公で語りました。イサム・ノグチを敬愛し、影響を受けてデザイナーになったと聞きます。私たちには、見るべきもの、知るべきこと、伝えなければならないことがあるのだと思います。

掌中のアート
午後5時55分
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