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91 レオニーの薦め (平成22年12月吉日)
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イサム・ノグチは有名な彫刻家だと知っていても、実際の芸術作品に触れる機会は少ないのです。それは、作品が美術館にあるものよりも土地と一体化した公園などが代表作だからです。日系アメリカ人なので、少なからず関心を持つのですが、作品は抽象的で分かり易い訳ではございません。以前、勧められたドウス昌代の「イサム・ノグチ」という伝記を読み、母と子の数奇な人生に驚かされました。

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伝記を読んで、これは絶対映画にすべき題材と思ったのでございます。それが映画になるというのですから、楽しみと不安の想いで待っていました。理由は、芸術家の天才と苦悩、届かぬ愛と孤独、日米の狭間で翻弄される人の弱さと強さに感動したため、安っぽいドラマを創ってほしくなかったのです。しかし、杞憂でした。監督の松井久子が、イサムよりもアメリカ人母のレオニーの波乱の生涯を描いたことにも納得できます。ドウスの伝記と比べると、映画らしく映像の美しい作品だと感心しました。

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それにしても、母の愛は偉大でした。子供のために送った人生とも言えます。そして母子に共通する孤独の陰。その陰が深い分だけ、イサムの彫刻は輝きを増すのかもしれません。イサムは芸術家として高い評価を得て、見た目にも魅力的であり、華麗な女性遍歴もあります。しかし、意中の人とは結ばれることがありませんでした。伝記を読むと、様々なエピソードからイサムと母の人生の懊悩をうかがうことができます。日米の間に引き裂かれる混血児のイサムは、帰属する場所を求めて彷徨います。

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イサムの父である詩人の野口米次郎はどうもサマになりません。現代から考えると不誠実と思える男ですが、その時代を想像すれば同情できる点は多々ございます。しかし、レオニーの身を挺しての生き様には到底およばないのです。その母があって、イサムが生まれたのでしょう。私たちに残された大きな遺産は、イサムの精神とつながる高松のイサム・ノグチ庭園美術館、札幌のモエレ沼公園などです。

掌中のアート
午後5時55分
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